徒然なるままに、ひぐらしスクリーンにむかひて

映画とミュージカルを愛する一人の人間によるのんびり日記。気が向いたら鑑賞記録や音楽の話も。

メリー・ポピンズって曲がやっぱ一番大事

※昔の自分の文章が支離滅裂すぎて泣けたので記事を修正しました(2018.9.26)

 

先日、午前10時の映画祭で「メリー・ポピンズ」を観てきました。劇場がABと分かれていて、確かBグループは9月4日までやっていると思うので興味のある方は是非。

asa10.eiga.com

 

実は私、小さい時にディズニー映画をたくさんビデオで見せてもらっていて、その中でもメリー・ポピンズがお気に入りだったんです。家のビデオデッキが壊れてもしばらくビデオを持っていたほどあの映画が好きでした。映画は字幕派ですが、未だにメリー・ポピンズだけは例外です。ジュリー・アンドリュースが好きだということもあって、未だに私の中でのディズニー映画NO.1です。ちなみに2番目は塔の上のラプンツェル、3番目は魔法にかけられて、です。
 
そんなメリー・ポピンズを映画館の大スクリーンで観れるとあって、この前家でまた観たばかりだというのに我慢できずに友人を誘って大阪まで行ってきました。
幸運なことに半分以上の座席が埋まった中で観ることができました。たくさんの人と一緒に見るメリー・ポピンズはとても新鮮で、ビデオやDVDでは何回も何回も繰り返して観てはいたけれど、今まで気づきもしなかった新しい発見もありました。
 
その中で今回は特に音楽に注目して自分なりの考察を書いていこうかなと思っています。
 
 
 
 
※今回もネタバレ気にせず書いています。未視聴の方は注意。
 そして今回は自分の考察というか、自分なりの考えばかりなので、違うでしょ、って意見も
 あると思います。その点ご容赦ください。
 
 
 
メリーポピンズの劇中音楽は実は登場人物によってテーマ曲があって、
例えばメリーポピンズだと 「お砂糖ひとさじで(A Spoonful of Sugar)」 、
お母さんは「古い鎖を断ち切って(Sister Suffragette)」 
お父さんは「私の暮らし(The Life I Lead)」、
そしてバートは「チム・チム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」。
 
 
これはミュージカルの手法によくある「人物ごとに設定されたテーマ曲」というものなんですが、これらの人物のテーマが交差しているところがこの映画の面白いところです。
 
例えば、アルバートおじさんのシーン、みなさんご存知でしょうか。笑いが止まらなくなって浮かび上がってしまう、あの迷惑なアルバートおじさん。
みんなが帰ってしまい、アルバートおじさんが悲しむシーン、そこで一瞬だけ、ラストに流れるはずの凧あげの歌が流れるんです。

余談ですが、これに気づいたのが今回の映画館鑑賞でだったので、驚くと同時に、やっぱり好きな映画こそ、何度も観ている映画こそ映画館で観るべきだな、と思いました。

 
それに関連して、お父さんがラスト近く、銀行に呼びだされるシーンでは最初「2ペンスを鳩に(Feed the Birds (Tuppence a Bag))」 がお父さんのテーマ「私の暮らし」の代わりに流れます。
そして銀行に入った途端に動揺を悟られまいと取り繕ったかように、少しだけ重厚になった彼のテーマ「私の暮らし」が流れた後、それが飲み込まれるように銀行のテーマ「信用第一の銀行(Fidelity Fiduciary Bank)」にすりかわります。そして、無音。彼の服や帽子が破られる時に再びうっすらと「信用第一の銀行」が流れ始めます。しかし再び無音になり、スパカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスの言葉を合図にメリー・ポピンズのテーマ、「お砂糖ひとさじで」が流れ始めます。そして銀行のミスター・ドース・シニアが笑って浮き始め、そして、そして アルバートおじさんの歌が流れるのです。
 
ここでちょっと私の考えを述べますと、「愛を与える」という主題を持つ「2ペンスを鳩に」が流れている時点で、お父さんは「愛を大事にする人」へと変わり始めているんですね。その後、「仕事が大事な私」であるお父さんのテーマ「私の暮らし」が流れますが、これは前者のカモフラージュとして、上司たちに心境の変化を悟られまい、という気持ちの表れです。それを銀行のテーマに覆われ、どうしようもなくなった時に流れてくるのがメリー・ポピンズのテーマです。このシーンで、お父さんは初めてメリー・ポピンズに救われるのです。
 
話をもとに戻しましょう。アルバートおじさんの歌が流れた後、そこからはご存知の通り、凧あげの歌が流れていきます。そこで先ほどのアルバートおじさんのシーンを思い出してください。あのシーンでも、アルバートおじさんの歌のあとに凧あげの歌が流れました。ラストより前に既に同じ流れが提示されていたのです。これは知っている人も多かったかもしれませんが私はそれに15年ほど気づかなかったので気づいた時めちゃくちゃ驚きました(笑)
 
この映画は、楽曲一つとっても細かく計算され尽くした部分がたくさんあります。
これからまた10年20年と見ていくうちにまた何か新しいものが見つかるかもしれません。
その時はまたブログに書こうと思いますね。